親や家族からマンションを相続したものの、
- 「自分は別の場所に家があるし、今は住んでいない」
- 「売るか貸すか、まだ何も決められない」
- 「手続きが面倒で、とりあえずそのままにしている」
こうした状態の方は、実は非常に多いのが現実です。相続は感情的な整理も必要ですから、すぐに結論が出せないのは当然のことと言えます。
しかし一方で、「相続したマンションを放置していても本当に大丈夫かな?」という漠然とした不安が、心のどこかに引っかかってはいませんか?
結論から言うと、相続したマンションを放置しても、明日すぐに罰金がくるようなことはありません。ですが、「何も決めていないから、何もしない」という状態が続くと、将来的に「損・面倒・トラブル」の3連鎖が起きるリスクが確実に高まります。
この記事では、不動産の知識がなくても理解できるように、放置することで起こり得る具体的なリスクと、最低限押さえておくべきポイントを整理して解説します。
なぜ「相続したマンション」は放置されやすいのか?
そもそも、なぜ多くの人が相続したマンションを放置してしまうのでしょうか。そこには共通する「3つの心理」があります。
- すぐに現金化する必要がない(生活に困っていない)
- 親の思い出が詰まっていて、荷物の整理がつかない
- 不動産会社に相談すると「売らされる」気がしてハードルが高い
こうした「心理的な先送り」は決して悪いことではありません。しかし、物理的な放置が長引くと、「放置=現状維持」ではなく「放置=リスクの積み立て」になってしまうのが、不動産相続の難しいところです。
相続したマンションを放置すると起きる5つのリスク
具体的にどのような困りごとが起きるのか、5つのポイントで見ていきましょう。
リスク① 名義変更(相続登記)の義務化と手続きの複雑化
2024年4月から、相続登記(名義変更)が法律で義務化されました。正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料(罰金のようなもの)の対象となります。
さらに怖いのは、手続きの複雑化です。
【具体的なケース】
例えば、10年間放置した結果、当初は3人だった相続人のうち1人が亡くなり、その子供たちが権利を引き継いで合計5人に増えてしまうことがあります。こうなると、いざ売ろうとした時に「全員の同意やハンコが揃わず、売却が完全に止まってしまう」という泥沼状態に陥るケースも珍しくありません。

リスク② 固定資産税・都市計画税、管理費が「貯金を削り続ける」
マンションは持っているだけでお金がかかります。
- 固定資産税・都市計画税: 年1回通知が届きます。亡くなった方の代わりに、相続人が引き継いで支払う義務があります。
- 管理費・修繕積立金: 毎月口座から引かれる維持費です。
これらを合計すると、10年放置すれば数百万円という大金が「住んでいない部屋」のために消えていくことになります。支払いを放置すれば、延滞金として数千円〜数万円単位の余計な出費が発生することもあります。

リスク③ 「換気なし」で室内の劣化が加速する
人が住まないマンションは驚くほど早く傷みます。
- カビの発生: 閉め切った部屋は湿気がこもり、壁紙や床がカビだらけになります。
- 配管の異臭: 水を流さないと下水の臭いが上がってきます。
いざ「貸そう」「売ろう」と思ったときに、重度の劣化で多額の修繕費用が必要になり、結局赤字になってしまうケースも少なくありません。

リスク④ 近隣トラブルと行政からの指導
郵便受けからチラシが溢れ、管理が行き届いていない印象を与えると、管理組合や近隣住民との関係が悪化しやすくなります。
また、戸建てに比べるとマンションは「特定空家」等に指定されるリスクは低いものの、管理不全の状態が続いて周囲に悪影響を及ぼすと判断されれば、行政指導の対象になる可能性はゼロではありません。

リスク⑤ 精神的な「重荷」になり続ける
「どうにかしなきゃ」と思いながら数年が経つと、そのマンションの話題自体がストレスになり、親族間での会話もギスギスしがちです。
「しばらく放置」はどこまで許される?
「相続して1年くらいは放置しても大丈夫?」という疑問への回答は、以下の通りです。
- 3年以内: 相続登記(名義変更)の期限です。それまでには書類を整えましょう。
- 1月1日の節目: 税金の支払い担当者を決める必要があります。
- 放置の「質」が重要: 「名義を変えて管理費を払い、たまに空気を入れに行く」なら、数年間の据え置きは選択肢としてアリです。
問題は、「誰が責任を持つか決めないまま、存在を忘れてしまう放置」です。
放置している人が、今日これだけは確認すべきこと
無理に「売却」へと気持ちを向ける必要はありません。まずは以下の3点だけを、「未来の自分のための整理」としてメモしておきましょう。
- 名義は今どうなっているか?(親の名義のままか)
- 固定資産税・管理費は、今どこから引き落とされているか?
- そのマンションに、親の荷物はどれくらい残っているか?
これらを把握しておくだけで、「完全な放置」からは一歩抜け出すことができます。

まとめ|相続したマンションの放置は“静かにリスクが増える”
最後に、大切なポイントを整理します。
- 相続したマンションを放置しても、明日すぐに罰則が出るわけではない
- ただし、放置期間が長引くほど、手続きは複雑になり、お金は逃げていく
- 「売るかどうか」の前に、「現状はどうなっているか」を知ることが最大の防御
まずは「今どうなっているか」を紙に書き出すような感覚で、現状を整理してみましょう。
「まだ売ると決めたわけじゃないけれど、損はしたくない」という方は、【保存版】親から相続したマンション、まずやるべきことチェックリストを使って、今の状況を一つずつ確認してみてください。
