親や親族からマンションを相続したものの、
- 「自分は別の場所に家があるし、住む予定がない」
- 「今後どうするか決まっていないけれど、とりあえずそのままにしている」
- 「片付けも進まないし、売るかどうかも判断がつかない」
こうした状況にある方は、決して少なくありません。むしろ、相続物件においては「一番多いお悩み」と言ってもいいでしょう。
その結果、気づけば半年、1年と時間だけが過ぎてしまっている…そんな状況になっていませんか。
結論から言うと、相続したマンションに住んでいなくても、所有者としての「責任」と「負担」は止まってくれません。
ただし、焦って今すぐ売却を決める必要はありません。まずは「住んでいない場合に特有の注意点」を整理し、あなたの資産を守るための知識を身につけましょう。

結論:住んでいなくても「所有者としての責任」は続く
マンションの管理組合や自治体から見れば、あなたがそこに住んでいるかどうかは関係ありません。「所有者(オーナー)」である以上、以下の3つの責任が継続します。
- 金銭的な負担(税金や維持費の支払い)
- 建物の管理責任(室内や設備の維持)
- 社会的な配慮(近隣や管理組合への対応)
「今は使っていないから、何も起きないはず」という思い込みが一番のリスクです。放置が長引くほど、後から大きな問題として表面化しやすくなります。
相続したマンションに住んでいない場合の「5つの注意点」
① 固定資産税・管理費などの支払いは止まらない
住んでいなくても、以下のコストは毎月・毎年必ず発生します。
- 固定資産税・都市計画税: 年に1回通知が届きます。
- 管理費・修繕積立金: マンションを維持するために毎月口座から引かれます。
- 水道光熱費の基本料金: 解約していなければ発生し続けます。
特に築年数が古いマンションの場合、修繕積立金が高額になっているケースもあり、年間で数十万円単位の支出になることも珍しくありません。

② 誰も住まないと、建物の劣化が加速する
「人が住まなくなると家は傷む」というのは本当です。
- 湿気によるカビ: 換気が行われないと、畳や壁紙にカビが発生します。
- 排水管の異臭: 水を流さないと「封水」が蒸発し、下水の臭いや害虫が室内に上がってきます。
一度傷んでしまった内装を直すには、売却時や賃貸に出す際に多額のリフォーム費用がかかってしまいます。

③ 「管理責任」はあなたにある
例えば、室内の給水管が老朽化で破裂し、下の階に漏水してしまったらどうなるでしょうか。住んでいなかったとしても、その損害を賠償する責任は所有者であるあなたにあります。
また、郵便受けからチラシが溢れていると「空き家」であることが一目で分かり、防犯上のリスク(不法侵入や放火など)も高まります。
④ 近隣・管理組合とのトラブル
マンションは共同住宅です。
- 連絡がつかない: マンション全体の点検や工事の際、連絡が取れないと他の住民に迷惑がかかります。
- 放置の印象: 管理が行き届いていない部屋があると、マンション全体の資産価値を下げると見なされ、厳しい目を向けられることもあります。
⑤ 名義変更(相続登記)をしないリスク
「住んでいないし、売る時にやればいいや」と名義変更を後回しにするのは危険です。 2024年4月から相続登記は義務化されました。放置すると罰則があるだけでなく、時間が経って他の相続人が亡くなったりすると、手続きがどんどん複雑になり、いざという時に身動きが取れなくなります。

よくある「3つの誤解」を整理しておきましょう
- 「住んでいないなら、固定資産税は安くなる?」
→ 逆です。管理が不適切で「特定空家」などに指定されると、税金の優遇措置が受けられなくなり、税額が数倍に跳ね上がるリスクがあります。 - 「古すぎて価値がないから、放っておいてもいい?」
→ 建物価値がゼロでも、「管理費の支払い義務」や「損害賠償責任」は残ります。マイナスの資産(負動産)にならないための対策が必要です。 - 「今すぐ売らないと大変なことになる?」
→ そんなことはありません。大切なのは「現状を把握し、管理のルールを決める」ことです。

売るか決めていない今、意識すべきこと
現時点で、無理に「売却」へと気持ちを向ける必要はありません。まずは以下の3点だけを意識してみてください。
- 月々の維持費を正確に把握する: 「年間でいくら出ていくか」を知るだけで、判断の基準ができます。
- 「放置」せず、月1回は空気を入れる: 難しい場合は、管理会社が提供する「空き家管理サービス」の利用を検討しましょう。
- 情報を整理しておく: 築年数や管理状態を確認し、将来の選択肢(住む・貸す・売る)をいつでも選べる状態にしておきます。
まとめ|住んでいないからこそ「知ること」が守りになる
相続したマンションに住んでいない場合、大切なのは「後回しにしないこと」ではなく、「何が起きているかを把握しておくこと」です。
- 住んでいなくても税金や管理費の負担は続く
- 「管理の放棄」は、将来のあなたの資産を削ってしまう
- 今すぐ売る必要はないが、名義変更などの基本の手続きは済ませておく
「具体的に何から確認すればいい?」と迷ったら、まずはチェックリストの中から、1項目だけ確認するところから始めてみてください。すべてを一度に決める必要はありません。

